Under the hazymoon

http://researchmap.jp/nomurahideto/

型の練習の方が実戦的では?

 先週から三角歩の練習をやっています。H師兄も三角歩を習うと使いたくなると言ってるように、確かにかなり具体的に相手を想定した動きになっています。だもんでけっこうみんな蹴りを入れてみたりして動きを試しているんですが、僕としてはちょっと違和感のあるところでした。

 まず、もちろん一つ一つの動作に実戦的な意味がありますよと教わってはいたものの、単換掌から一貫して型の練習にいそしんできたわけで、違う掌法だからといって急に方法が変わるだろうかというのが第一点。次に、対戦相手をイメージすると、遠藤老師から教わった型を忠実になぞろうとしたときに、イメージしている相手にぶつかってしまう、つまり動作が大きくなってしまい、もし実戦的に行おうとしたら動きを小さくしなくてはならないというのが第二点。
 そこで遠藤老師に確認してみたところ、やはり型を忠実に行うことが大切で、相手を想定しなくてよいとのこと。また動きはやはりある程度大きい方がよいと言われ、これまでの掌法の練習とイメージが一致して安心しました。
 実戦的という点でも、下手に具体的に対戦相手を想定して練習する方が、かえってよくないと思います。というのも、ボクシングなどルールが厳密に定まっているものであれば、相手の動きは限定されるのでシュミレーション可能ですが、実戦では相手がどんな動きをするか予測は難しい。自分のできる想像には限界がありますから、その範囲でしか技が出せないような練習はかえって自分を縛ることになるでしょう。だから伝統的な武術では、まず型を繰り返し身体に覚え込ませることに終始しておいて、その後でその技を様々な場合で応用できるように試していくという非常に迂遠な方法で練習するのだと思います。
 今はそれでもずいぶん近道をさせてもらってるんじゃないでしょうか。つい誘惑にかられてしまうのは、僕自身そうなのですが、やはり愚公山を移す、師の教えに愚直に練習することが重要なのだと思います。
 実際の練習はそのようにと思って、まあまあその通りできていると思います(これは要求をこなせてるという意味ではないです、もちろん。精神的な姿勢です)が、理論的解釈は解釈で好きにやります。一応研究者なもんで。ちょっとよこしまだとは思いつつ。