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経済学的思考による大学教員の制度設計

 通勤がてらに大竹文雄『経済学的思考のセンス』*1を読みました。特におもしろく読めたのが「大学教授を働かせるには?」*2のくだりです。

  • 学問の自由と何もしない自由
  • 大学教授を任期制にすると
    • 人件費への影響
    • 大学教員の流動性
    • 質の低い新任教員の採用
    • 若手教員に対する訓練の低下
  • 望ましいインセンティブ制度
  • 若手教員の任期制と教授の終身雇用制度
  • 大切な評価制度

といった章立てで、

終身雇用制を廃止し、大学教授のポストを任期制にして、業績が悪ければ再任を拒否するという制度に変えれば、教授の研究意欲は増して、何もしない教授はいなくなるのであろうか。*3

という問題設定をして議論をすすめています。
全員任期制だとかえって問題を悪化されるが、若手の採用に任期制を導入すれば、現状ある以下の問題、

  1. 採用される人の質が低下する。
  2. 新規採用された人の質が悪いように現職教員がみせかける。
  3. 終身雇用制から任期制になると教授ポストの魅力が低下するため、若手教員の昇進意欲が低下し、業績低下につながる。
  4. 終身雇用権がない大学教授は、雇用不安のために権力への隷従の度合いを高める。

が解消できる可能性があるというのがその結論です。しかしそうした任期制が効果を発揮するにはきちんとした評価基準の確立が必須だとのこと。


 現行の制度が変更されて助教授のかわりに「準教授」「助教」が設置されるのですが、それに伴って?任期制も導入されるようです。つまり現実に起きてしまうことで、まったく他人事ではないわけですが、個人的にはこうした制度絡みの問題は、人文研究者の研究活動を参与観察する*4上での下調べ的な意味合いで好奇心をそそられてるだけだったりして。いいのか。いいのだ。まあ、さしづめアフォーダンス的方法論とでもいいますか、まあ外部を想定した方法論を考えてみたい今日この頃だったりして。

*1:ISBN:4121018249:detail

*2:同書pp.88-100

*3:p.89

*4:民族誌的研究史、みたいな