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研究経営論(1)

 梅棹忠夫『研究経営論』*1はちょっと人文学の研究者には必読じゃないでしょうか。今頃になって、id:monodoiさんに教わるまで知らなかったというのがたいへん恥ずかしいです。とにかくおもしろいし、参考になることが多いです。今の職場は同書で挙げられてる実例よりもはるかに小規模ですが、こうした課題設定は大規模の話をダウンサイズした方が楽だし道筋を間違わないですから。
 

 目次は以下の通り。

まえがき
空想人類学科設立案
近衛ロンドの5年間―京都大学人類学研究会の歴史と現状
人文*2でえたもの
国立民族学博物館における研究のありかたについて
学際的研究のすすめ
日本文化研究所はどうあるべきか
研究に対する基本的な気がまえについて
総合研究大学院大学文化科学研究科の発足にあたって
国際シンポジウムの組織と運営

それぞれ既発表の原稿を再録したものですが、簡単に手に入らないものも多く、また書かれた当時の状況も前説してあってうれしいです。
 研究と教育の両面から考えている点で、もろさん*3やもりおかさんが議論されている「人文情報学」をどう確立するかという問題の実践例になりますし、僕自身の「人文工学」的問題意識の具体的な回答の一つになっています。ただ大学院生時代から大阪市大助教授、人文研教授を経て、民博初代館長といった、梅棹さんの華々しい研究履歴あっての議論なので、うかつにすべて鵜呑みにするわけにはいきません。もっとも、ロールモデルを高く設定するのはよいことだと思います*4

 本書の内容で、けっこう衝撃的だったのが、酒の席その他で耳にしまた自分でも言う業界関係の批判や愚痴の大半がすでに書いてありました。しかも解決法の提示と実践結果まで。えーと、17年前に書かれた本ですよね。。。あれ、何故か涙が。
 日本中国学会の今年のイベントは、「中国学への提言――外から見た日本の中国学研究――」*5と題して、まさに今後中国学をどう経営していくかを議論されるようで、たいへん楽しみです。

【追記】
8/28:阪大教授→大阪市大助教授に訂正。id:monodoiさんご指摘感謝。

*1:ISBN:4000006118:detail

*2:京都大学人文科学研究所

*3:id:moroshigeki

*4:だって古典学者だもーん。

*5:http://wwwsoc.nii.ac.jp/ssj3/utf8/58honbun.html#400