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梁派八卦掌の口伝と走圏(1)

 僕が現在習っているのは馬貴派の八卦掌ですので、初学者としては、他流派のものを読む場合には学術研究としてにとどめ、なるたけ現在自分が身を置いている教学体系に影響を与えないよう注意しないといけないな、と思いつつ、資料を渉猟。
 そうそう、繰り返しになりますが、これでも古典研究者で、一に文献、二に文献という方法が好き*1なもので、実際のところどうなのか、現状どうなってるのか、とかにあまり興味が向いていません*2。どう書かれているか、を問題にしております*3。おまえの書いていることは間違っている、どちらが正しいか拳で確かめよう!とかは、なしにしてください(^_^;)
 

李子鳴『梁派八卦掌(老八掌)』、北京・人民体育出版社、2001年

 李子鳴遺著、翡錫栄整理『梁派八卦掌(老八掌)』、台北・大展出版社、2003年として台湾から出たものを入手しました。繁体字に変換しただけで内容は同じと思いますが、まだ未確認。なので以下はすべて台湾版による記述です。
 1982年に書かれた李氏の序文によれば、同書はもともと李氏が内部用の教材として書いたものだそうです。当時八卦掌関連の資料がほとんどない状況をなげいて、八卦掌という文化遺産を後世に継承発展されることを目的として執筆されたそうです。李氏によれば、

董海川氏から伝授されてきた八卦掌の三十六歌と四十八法訣は八卦書を鍛錬する上での指針であり、武術の貴重な精華である。以前は門派の立場や流派の区別、保守的な思考が邪魔をして、軽々しく他人には伝えなかったのだが、今ここに私はすべてを書き記して一般に提供して注釈を加え、学習者が八卦掌の動きの要領を容易に把握できるようにした。

ということですから、これを信用すれば、秘伝や口訣の類も、程度の問題はあれ書いてあると考えてよいんでしょう。
 で、実際、同書の構成をみると、本文部分が全部で162頁ありますが、そのうち掌法の具体的な解説は62頁と全体の3分の1強にとどまり、残りは、歌訣等の解説が77頁、基礎練功の解説が23頁と、現在市販されている一般的な武術書に比べ、歌訣や練功に対する比重が重く、李氏の言は信頼度が高いと思われます。
 

八卦掌の鍛錬規則

 さて、ではどのようなことが書かれているのでしょうか。ここでは、八卦掌の練功において、もっとも要となる身体の姿勢に対する要求について書かれた部分を引用しておきましょう。

 法則就是規矩,也就是必須牢記和遵守的「硬性規定」 。八卦掌的鍛錬法則是八卦掌運動在鍛錬時對人體各部提出來的要求,其要點如下:
 頭部正直,並有向上頂之意。謂之頂頭懸。項要豎直。下頦往裡微收,這樣頭部便正直了。兩目要平視,舌尖要微巻貼在上腭,並有上頂之意。
 肩要鬆垂,切不可聳肩,並要往前微扣。
 肘要下垂,切不能上翹。
 掌要直豎,腕要下塌,五指分開。指尖要有前頂之意,大拇指微扣,中指食指兩指上指、無名指和小指靠攏,虎口開圓。這樣便能使掌心向裡微凹,即是 掌心空之意,但也不可太彎,防止成為一個三角形, 術語叫做「死彎子」 。兩臂還必須有裹抱之意。
 胸要内含,背要繃圓,即是胸心空之意,這樣才能使氣道暢順,從而使氣下沉小腹(即是氣沉丹田) 。切忌挺胸腆肚。
 腰要鬆要塌,胯要鬆要提,只有達到上述要求才. 能使走輕、靈,上身圓轉自如,否則圓轉笨滯,不能起軸心作用。
 臀要收,腹要提,這樣才能使頭頂百會穴與尾間會陰穴,成一垂直線,使整個身驅無前栽後仰之弊。
 腿要稍下蹲,但自大腿至膝至腳也不能呈三角形,要呈弧形,兩膝相抱(即靠攏,)這樣才能使肩以上重量下降到腰,腰以上的重量下降到胯,胯以上的重量下降到腿,再降到膝,再降到腳,這就是所謂「四墜」 ,如此則全身重量都下沉到腿腳上,從而使身體上身靈活,下肢不受影響,而成為一個不倒翁。因它的重心全在下面。
 兩膝相抱,在運動時要有兩膝相磨之意,叫做「磨膝磨脛」。也由於兩膝相抱走轉時使雙腿形成剪子形狀,所以又叫剪子股。兩膝相抱還有保護檔部的作用。
 兩腳在運動時要平起平落,切不可揭底和亮掌,前伸時要繃平,然後再落地,後腳提起時則要先將大腳趾翹起,再將後腳提起。這樣兩腳行走即可避免揭底和亮掌了。並且兩腳落地時都要趾抓地所謂「落地生根」 ,這樣行走起來身體便穩固而不會動搖了。平起平落地行走好像是在泥中蹚行一般,因此又有「步落蹚泥」的說法。由於五趾抓地腳心必然向裡凹進,就是腳心空,腳心空和手心空、胸心空總稱為「三空」°
 鍛錬八卦掌必須遵守上述規定,應該耐心地鍛錬,曰子久了,白然會慢慢地習慣的。因為這些規定既合乎生理的自然規律,也是練功的必要功夫。練到爐火純青時,自然能使全身上下相配擰成一股繩,從而産生出武術家所追求的「内勁」來 。既鍛錬了身體,又増強了對敵作戰的能力。
 鍛錬八卦掌時還必須思想集中,要意守丹田。運掌時要用意不用力。拳諺說: 「心如元帥,眼為先鋒,腳是戰馬,手如兵刃。」因為眼有鑒察之明,手有撥轉之能,腳有快速之功,神有領導之能,所以鍛錬時必須意到手隨,手到步隨,出掌如牛舌,換掌如空梭。
其發勁時要眼到意到,意到氣到,氣到勁到,其勁之發必須是由腳而腿而腰而手,這樣出勁既快速而又有整勁,才能又準又狠。
(pp.36-38)

 

*1:正しいか、と言われると困ります(爆

*2:日本に梁派八卦掌の団体がある(http://members.jcom.home.ne.jp/abaguazhang/)と教わりました。多謝! で、見てみたのですが、理論的なことはまったく書かれてないですね。書いてあれば元の資料と比べれたのですが。

*3:現時点では誰でも目にすることができる公開資料をベースに議論をすすめていきます。秘密な資料とか手に入って、それを公開できるようなら議論に加えます。私だけが知っている、では議論としてフェアじゃないので。