nomurahideto's blog

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岡田式静坐法の使用前・使用後

 白隠禅師の養生法の後裔の一つに岡田式静坐法があります。最近ぼちぼちと調べ始めました。武術や内丹と同じ地平で考えてみるというのが主旨なので、まあ見切り発車で行ってもかぶることはないだろうという見込みがありますけど、先行研究はきちんとリサーチしないと。調べ始めるとどんどん横道にそれて、それがまた楽しくって、よろしくありません。論文にまとまるんやろか。
 

「不断の姿勢」十箇条

静坐法だから静坐の技術をきちんと分析しないと行けないわけですが、そこはつい武術との比較で、座ってないときどうするかが気になります。で、岡田式静坐法では、ちゃんと、座ってるときだけでなく、日常生活においても常に静坐の要求を満たすべきことが解かれています。その要求とは、

  1. 臀は、成るべく後方へ突き出すこと。
  2. 腰は、成るべく前へ反らせること。
  3. 腹は、成るべく張って力を入れること。
  4. 膝を開け、肛門を窄め気味にすること。
  5. 胸をすぼめ、鳩尾を落すこと。
  6. 腹は、臍より下を伸ばし、上を縮めること。
  7. 肩を下げ、背を少し丸くすること。
  8. 息は、出入とも、長く静かに、鼻からすること。
  9. 「くの字三つの姿勢」をし、常に胴體を短くして居ること。
  10. 腹力の中心を、臍下丹田に安定すること。

(岩本能武太『岡田式静坐三年』、大正4年(1915)、吉永進一編『日本人の身・心・霊−近代民間精神療法叢書2-3』*1
 
です。3−8,10条は八卦掌の走圏の要求と十分合致します。5条と7条の八卦掌で言う「含胸亀背」の要求は、しかし白隠禅師のテキストにあったかなあ。このへん再確認が必要です。
気になるのは、1,2,9条です。これらは「くの字三つの姿勢」という要求に集約されるわけなんですが、その姿勢というのは、
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といったように、胸・腹・臀で身体を折り曲げるようにすると身体が安定するそうなんです。この姿勢のうち、腹側は八卦掌の要求と合致するんですが、背側は真逆になっています。実際、この姿勢を実践するための工夫として、「半円形取り付けの姿勢」というものが提示されているんですが、それは、
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となっています。

使用前・使用後

 よくあるダイエット法の広告で、使用前・使用後の写真が掲載されてますが、こちらはダイエットとは全く逆の効果。最初の写真が静坐1年、次の写真が静坐3年です。
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おお、丹田がこんなにしっかり前に。。。で、この3年の写真の方は「くの字三つの姿勢」としても使われていたりします。明らかに腰がへこんでるように見受けられます。もう少しテキストを読み込んでみないとなんとも言えませんが、この1点において岡田式と八卦掌は異なるようです。もしそうだとすれば、他の部位への要求は同じように満たしつつ、腰の部分において真逆に身体を動かすことが可能ということになります。どちらがすぐれている、という話はしても再現性がないので、岡田式にしてもまるで効果がなければそもそも当時流行ったりしなかったでしょう、むしろ漢方薬と同じように、メインの効果は丹田の充実からもたらされ、他の部位は丹田と複合的に合わせることで効果が増減するor別の効果が期待される、ということかもしれません。このへんは人体実験的に確かめるよりも文献を臨床事例として読み込んでいくことで議論をすすめることができる、といいなあと思ってます。しかし比較しうる八卦掌の文献はないので、このへんは気功や太極拳でも比較対象になるかもしれません。自分の身体ではとうぶん材料になりませんから。できればインタビュー等で比較の材料となるテキストを自前で用意するというのをやりたいところですが。。。

*1:[rakuten:book:11324454:detail]