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漢文教養番組「カンゴロンゴ」

 NHKでは深夜帯に「番組たまご」*1という試験番組企画枠があって、評判がよいものは本放送に格上げされたりしているのですが、そこに漢文教養番組「カンゴロンゴ」が登場しました。ザッピングしてて気付いて途中から視聴した次第。
 

 番組紹介には次のように説明がありました。

今、書店では「漢文力」「困った時の論語」などの本が大人気。老若男女を問わず「漢文」への関心は高まる一方!2千年以上前の中国で書かれた人生観や世界観は、現代に生きる私たちにとっても、けっして古いものではなくて、むしろ生き方のノウハウに満ちている!?

ストレスの多い職場での人間関係、なかなかうまくいかない男女の恋愛、そして誰もが多少なりとも感じている周囲のモラル・マナーの悪化。こうした日常生活のお悩みや疑問に対して、漢文はナイスな処方箋を示しています!

徹底的にこの「漢文」を遊び尽くしちゃうのが、「カンゴロンゴ」!コントあり、恋愛必勝法あり、漢文ラップあり・・・「漢文の世界」を多面的に味わう、新感覚のエンターテインメント番組です。今、漢文ブームはそこまでやって来ている!

漢文ブーム、確かに来て欲しいです。応援したい。後ろから撃ちたくない。。。でも、でも、ちょっとなあ。
いや、漢文ラップとか『孫子』で恋愛相談とか、おもしろかったですよ。荘子胡蝶の夢も陳腐な映像化だったけど、老荘の受容の仕方としては正しい側面もあった*2
ただけっこうイタかったのが、平幹二郎扮する孔子が登場する論語と現代日本のコーナーです。道徳の復権を!みたいなノリで、確かにそういう保守的要求で『論語』求められてるのが、最近のブームらしきものの背景にあるっつーのは分かるんですけど、「人の道のためには自分の命もいとわない」*3みたいな一段をさらっと出されて、正直ぞっとしました。若い人に向かって社会のために犠牲になれって、ねえ。いやはや。
原典が書かれたときの文脈や、またそれが経学化していくときの文脈を考えれば、現代日本においては現代日本なりの文脈にしたがった読みができるはずでしょうに。読みを硬直化させてしまっていること自体、古典を骨董化しているわけで。。。骨董品として堪能することはそれはそれで楽しいですが、それは芸道としてやった方が楽しいんだし、そこに説教を持ち込むような野暮はなしでしょう。
 僕なら「徳」を道徳、「礼」を礼儀なんて読んだりしませんね。少なくとも『論語』を読むなら駒田信二さんぐらいの余裕が欲しいところです*4

*1:http://www.nhk.or.jp/tamago/

*2:現実逃避ってやつ。

*3:衛霊公篇の「子曰。志士仁人、無求生以害仁、有殺身以成仁。」

*4:[asin:4195989469:detail]