nomurahideto's blog

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神は首から鍛える

ブートキャンプ3日目は初心者向け講習会パート2でした。いっぱい参加してもらえたのにまた会場があまり広くなくて申し訳ありませんでした。
というわけで、今日もみんなで走圏をしたのですが、ダメですね、僕はもう姿勢が崩れちゃって。証拠写真がアップされてます*1。顎浮いて肩上がってまあみっともないこと。実際、李先生にはそこと胸を含むところを直されたのでした。とほほい。
 

カリキュラム

  1. 走圏
    1. 龍形走圏
    2. 熊形走圏
  2. 単換掌
  3. 探掌
    1. 探掌(母掌)
    2. 単探掌
    3. 双探掌
    4. 連探掌
    5. 回身探掌
    6. 順身探掌(昨夏にはやりませんでした)

さて、昨日より今日は多めに教えます、という先生の言葉通り、探掌の変化技をびしばしと練習しました。探掌は突きの練習ですから、ついつい力が入ってどしんどしんと足を踏みがちなんですが、それはよくないやり方との由。虎や熊や獅子などの獰猛な獣が敵と戦うとき、音を立てるでしょうか。音もなくいきなり襲いかかるでしょう。逆に音を立てる動物といえば、羊や牛や山羊で、彼らは戦うにあたって大きな音を立てます。私たちは獰猛な獣のように戦わないといけません。だから音を立てずに練習しましょうとのことでした。
この話を聞いて、肉球とひづめの違いじゃ?と相方は言ってましたが、いやまあそういう問題ではなくって、威嚇したりしないで可及的速やかに攻撃すべし、という気概の問題だし、あとは行息が乱れるにしろ足が音を立てるにしろ、力が偏ってしまっているということじゃないかと思うんですよね。
そんなこんなで時間ぎりぎりまで探掌の練習をしていたんですが、もちろん走圏や単換掌の練習もしました。探掌は単換掌からの変化だから動作の要求はすべて単換掌にもとづくし、単換掌は走圏からの変化だから動作の要求はやはり走圏にもとづく、ということを必ずおさえておくべき要点を忘れないように理論から教えていただいた次第です。けっこう始めて教わったこともあって、非常に得るところが大きかったです。
また虎と言いつつも最後の回転して打つ探掌の変化については、「換式如猴」(方向を換えるには猿のように)を心がけるようにとのことでした。まあ虎は回転しないので、いざ回転するときは、ということでしょうか。

歌訣2×3

さて、今日の走圏の講義で教えていただいた歌訣は次の通りです。
【1】

  1. 含胸亀背下端腰  胸を含み背を亀にし、下は腰を端(ただ)す。
  2. 上鬆下緊力在腿  上は鬆(ゆる)め下は緊(かた)くし、力は腿に在り。

【2】 

  1. 鬆肩緊背臂自長  肩を鬆(ゆる)め背を緊(かた)くし、臂は自ら長し。
  2. 墜肘開腕蓄待発  肘を墜し腕を開き、蓄えて発するを待つ。

【3】 

  1. 元気須従肛門提  元気の須らく従ふべきは、肛門より提(あ)ぐべし。
  2. 転掌之神頸骨伝  転掌の神は、頸骨に伝う。

まず【1】の歌訣はこれまで度々教えていただいている基本中の基本です。
【2】は龍形の手の構え方です。第1句の「鬆肩」を「空胸」にも李先生は言い換えられてましたので、身体の前面は力を抜き後面は力が入ることで腕が自然と前にのびるとひとまず理解してよいのかなと。そして肘をのびきらせないで、丸く抱くように構えることで、臨機応変に攻撃の手を出せるということですね。
【3】は走圏における気と神の練り方の要領で、これを僕は本当に知りたかったんですねー。第1句の
提肛の要求はこれまで何度も注意いただいてましたし、内丹などの練功法とも合致するので、実際のところどうかはともかく、システムとしてはよく分かるわけです。ポイントは第2句です。これまで龍形は神を練るといわれてはきたものの、具体的な所作については特に教えていただいてませんでした。だもんで、そうかこれは気を練る=形を練ることの先にある遠い世界なのかなー、そう思ってたんです。ところが、何としっかり身法に対応するものがある。これまでいつも顎を押して直されていた姿勢こそが、神を練ることに深く関わっていたとは!感動です。見えないものを見えるもので捉えるという道教的な修行法の鉄則がここでもきちんと適用されているんですねえ。しかも前でなく後ろというのも一貫しています。顎を引くのでなく、頸を伸ばす、ということです。
今回、歌訣で教えてはいただいてないですが、これに「抓地」(地面を爪でつかむ)、足でしっかり地面をかんで歩くことを加えると、走圏を通して人体でもっとも弱い首、腰、足を鍛えることができるといった次第です。うーん、よく考えられているなあ。
さて、【1】や【2】の要領は身体の所作ではあるわけですが、その目的は、【3】のように気と神を練ることにあります。走圏は動作を訓練するものではない、体内の空間を最適化することで気血の流通を促進させ、身体の不均衡だったり問題があったりで気血が滞ってしまっている部分にも気血を通しスムーズにするのが第一なのだそうです。各部の滞りをすべて下に追いやって、足の歩みは地面に悪いものを放出するかのように行うのだとか。そして悪いものを出しきったことで、身体が中正で均衡がとれるようになります。すると身体はきれいになって気血が満ちてくるので、今度はそれを集めて一つに合わせるとの由。そしてそのように充満することで回転もまた安定し力強くなるといった次第です。ここでのポイントは、気血を練るのにはきちんと順序がある、ということ。通順→合一というように、たんに気や力を下に沈めるだけでは終わらず、丹田に戻す過程があるということなんですね。だから「提肛」や「吸胯」といった上へ向かうベクトルの術語があるわけです。これもすげー納得。
 
これら歌訣を表面的に捉えると相互に矛盾が生じてしまうというのがこれまでの悩みでした。【1】で上をゆるめるといいながら、【2】では背をかたくするという。【1】で力は足にあるといいながら、【3】では元気を肛門から上げるという。しかし実はこれは矛盾しないのだ、あるいは矛盾してても同時に実現しちゃうのだというところが大切で、結局、よく分からないままとにかく練習していくうちに、少しずつ感覚がつかめてくるのを待つしかないのかな、でも、きちんと説明できる道筋あるはずだがなあと思っていました。そしたら、今回の李先生のお話を聞いて、おお!と思ったところがいくつかあったというわけです。それもまた自分の練功が少しでも進歩して情報として入ってくる体内感覚などが変化してきたということが背景にあるのでしょうけど。でも実感できようができまいが言語化は(レクイエム化しちゃうにしろ)可能なわけで。
 

熊は爆発前の静けさか

熊形走圏の要は気血を養うことにあるので、行うときは、

  1. 「勢如伏熊」  勢いは伏した熊の如し
  2. 「穏如坐轎」  穏やかなる轎に坐すが如し

のように心がけるようにとのことでした。一つめの要領は、熊形の熊の意味は動作が熊のようだということではなく、身構えた熊がいついかなるときも瞬時に獲物に襲いかかれるのと同様に、身体に力と気を充満させて歩く意味との由。二つめの要領は、そのように気血を充実させるには、輿に乗っているかのように歩き、何があってもバランスを崩さず歩く意味との由。アラスカで鮭を捕っている熊を想像するのといいのかなあ。何かいいDVDとかないかな。

*1:http://www.maguibagua.com/Rx%202007%20photoes.html