nomurahideto's blog

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北京修行その1:腰を回すとはどういうことか

そんなわけで、とうとう北京修行でございます。研究の道は険しいなあ(違
これから4日間分の学習の記録を簡単に残しておきますが、十年以上やってないと教えない秘伝みたいなものもあり、さすがにそれは書いちゃってもいいんでしょうか?と李先生に聞いたら、何でも書いていいよと、あっさり許可をいただきました。
まあ実際、今回、僕といわとさんの2人の道行きだったんですが、それぞれの現状に合わせた指導をしていただいていて、それをいくら書いてみても実践上有用とは限らない、オーダーメイドの服はまず他人にはぴったり合わずどこか無理がでるようなもんで、実質的にはどれだけ書いても李先生から直接授かるものでないと意味をなさない、ということなんでしょう。
まあそれに、僕がブログで書くのは僕自身の体験を対象とした民族誌みたいなもんですし。
 

走圏

初日、まず直していただいたのは走圏です。ポイントは二つ。
一つめは、走圏はいきなりゆっくり歩くのではなく、最初は身法を守りつつ速めに歩き、徐々にゆっくり歩いていく、ということ。その際に、足はきちんと力を乗せてかつ下に向かって出すように進める。これが現時点の僕にとっては、平起平落と抓地の具体的な課題というわけです。
二つめは、腰を捻る際に身体を歪めない、ということ。何を今更と思われる方も多いと思うんですが、僕はどうも、腰を捻る、身体を回すという動作を誤解していたみたいです。「中国武術で言う腰は日本語の腰より高い丹田回りを指す」ということと「走圏では腰をしっかり回す」こととは、個々では真なんですが、合わせると偽になっちゃうということなんですね。
わたあめを入れるようなビニール袋を考えてみます。7割くらいふくらまして逆さにして口を閉じます。さてこの袋をぱんぱんにするにはどうすればいいか。上の部分をなくなりかけた歯磨き粉をしぼり出すようにしていくとよりふくらみますが、それだと上にあまりができて袋のバランスが悪くなります。じゃあぞうきんをしぼるように捻ってみるとどうなるか。圧力はかかるんでふくらみますが、まんなかはよれてしまい袋の中の空気は上下に分断されます。正解は、閉じた口を捻ってより強く閉めることです。そうすれば丸くぱんぱんになります。
つまり腰は回っているんだけど、回してはいかんのです。回すのは日本語で腰を指す場所、腰腹の下から鼠径部のところで、そうすれば身体は歪むことなく円の中心を向きます。走圏の際に鼠径部まわりがへこむのが吉というのは、下端腰の結果としてだけでなく、そこが捻られているからだったわけですね。また自分では少し前のめりかもと思ってしまいがちなんですが、そう感じるくらいに鼠径部がへこむのがちょうどいいみたいでした。

単換掌

単換掌も二つ大きな問題を直していただきました。
第一に、馬歩の際に後ろの足が逃げ気味になっている点について、これをしっかり馬歩するには、最初の扣歩でしっかり座ってその軸足の位置を保ちつつ擺歩するとよいようです。現時点では膝が外に開いちゃうような感覚があるんですが、実際は適度に馬歩した状態で落ち着いてくれてます。
第二に、最後の擺歩の足が開き過ぎてしまっている点。最後の足はそのまま走圏を続けれられるように、つまりこの状態では両足が平行になるようにしたほうがよいようです。

88式

衝撃の事実が。動作が一つ間違っていたそうです。冗談で、そういうことあるかもねーと話していたらホントにそうなったw 実際は李先生が習われたときにすでに動作が間違っていて、掌法との突き合わせをして間違いに気づかれたそうです。
それは夜叉探海の後の、両手を単勾式のようにして歩いていく動作で、これまでは進行方向を向いていたのですが、実は逆で、後ろをみながらすすんでいくのが正しいのだそうです。「走馬回頭」という名前があって、敵とやりあって逃げると見せて反撃、という意味があるので、顔は敵のいる方向、後ろを見ているのが正解ということでした。

探掌変化

探掌は気になっていた点をいくつか確認させていただきました。
まず第三の変化、三つ打つ探掌は、一打ずつ足をそろえるのと、足を動かさず三つ打つのと、どっちもアリだそうです。
それから十字探掌についても、足を揃えて打つのと、足を前に出して打つのとやはりどっちもアリだそうです。
最後に龍形探掌は、龍形掌と同じ入りで、下から打って、回って今度は上から打つというように変化するそうです。むむ、難しい。

対練

夜は室内で対練の練習をしました。といっても、これは正確にはいわとさんの練習で僕のではありません。というのも、いわとさんは身体ができているので毎週1回、できれば2回練習をするとよい、が、僕は身体ができていない(脱開しておらず身体の筋がつながってない)ので、腕の力でやってしまうので、むしろ変な癖がつくから次の夏までしない方がいいくらい、との李先生のおおせなのでした(^_^;) 吸化掌と穿掌とやりましたけど、まるでダメでした。もっとも明らかにレベルの違う相手同士でやるのも練習の一つ(好き勝手にやれるし、やられるから、だそうですが)、だったので、まあいないよりはましといった程度で。

点穴

そうそう、対練では、馬貴派における点穴とは何か、というお話もあって、これは強烈かつ興味深いものでした。擒拿の対練のときに、点穴というと相手の穴道とかを押さえたりとか考えるんですが、つかむとはそういうことではないんだそうで、手が相手に触れたらその角度や部位に応じて、骨や肉や皮や筋や脈や関節やあらゆるところをつかむ、これが真の点穴なのだそうです。それをさぐる手のなめらかな動きこそが「牛舌」なのだとか。実際、どこをどうとられても痛いこと痛いこと。もちろん個々の部位でのつかみ方はあるんですが、それを型として構築しない、というところが要点のようです。うーん、おもしろい。

得物

技自体は八卦掌のものではないのですが、鞭杆十三勢、だったかな、そのうち基本となる3つの動作を見せていただきました。杖がわりに持ち歩けるから実践的だよとの由。で、鞭杆は七星杆や八卦刀の練習に使えるんだそうです。しかし得物の練習も、僕については、やっぱり肩があがっちゃうからあんまりやんない方がええみたいです。