nomurahideto's blog

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マンガ・アーカイブの必要性

夏目さんからいずみのさんの『漫画をめくる冒険』を買わせてもらって、楽しく読んだんですが、その感想はまた別に書くとして、まず思ったことの一つにこうした議論をアカデミックに発展させるにはやはりアーカイブが必要だなあということでした。夏目さんがよく言われてることですが。

というのも、議論の内容を検証するにあたって、取り上げられている漫画一つとっても、最近のならマンガ喫茶とかで確認できますが、そうでない場合、見るのがけっこう大変だし、技術的な変遷とか歴史的な観点が入ってくると、きちんと該当する時代の、最低でもメジャー誌を総ざらえで見てみないときちんと言えないでしょう。議論の確認なり批判なりを自身のマンガ体験からしか言及できないとなると、それってたんなる「僕ら語り」だし。公開されたアーカイブがあれば、示された議論を誰でも追試/検証できるわけで、そこまでいかないとアカデミックな議論にはならないでしょう。もちろん、これは制度の問題で論者個々の問題ではないわけですし、アカデミズムの方は方でも、一頃前までは(ある分野では今でもそうですが)、原資料を直接見れるということが特権化して、そこで勝負が決まるよなことはままあったわけで、まあ確かにそこにかかった手間を評価することは大切ではあるといえばそうですが。個人的にはそんな論より証拠はいらーんと思うし、だから文献のデータベース化にはすごく賛成なんですよね。基礎的な成果ほど、独占でなく還元をしてこそ評価すべきでしょう。。。と、だんだん別の方向に話がよれてくな(^_^;)
まあそんなこと思ってたら、ちょうど内記 稔夫,秋田 孝宏「日本における漫画の保存と利用」*1なる論文を発見、やっぱり大変なんですね。図書館にしろアーカイブにしろ、知=権力の源泉として本来あったわけで、俗文化には冷たいですもんね。漫画関係の学部なり学科なりがどんどん増えてきてますので、今後研究のための基盤環境がどんどん整備されていって、知的好奇心を刺激してくれる漫画研究がどんどん出てきてくれるとうれしいです。

*1:http://current.ndl.go.jp/ca1637