Under the hazymoon

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伝統芸能のデジタル化は何をデジタルにすべきか

身体感覚のにぶーい僕には難しいところがあるのですが、昨日の自主練のときに夏目さんから身体の他の部分は使わず大腰筋だけ動かす方法というのを教わりました。
発力の源や腰の安定に大腰筋は大きく関わるのではというのが、ここ最近の僕らの一致した見解ではあるのですが、問題は、第一に大腰筋説自体正しいかどうか分からないし、第二に、正しいとしても筋トレのような解剖学的訓練が目的達成に資するか定かではない、ということがやはり気になります。

ただ第二に関しては、中国武術自体に単操や易筋経のような部分を鍛える訓練がある以上、どこまでを部分とするかという程度の問題として考えれば、実は筋トレ自体は伝統的な訓練の延長線上においてよいことになります。
むしろ問題は第一の点で、そのように伝統的な訓練の延長線上におくためには、その訓練で強化するポイントが妥当かどうかをはっきりさせないといけないわけです。伝統的にはこれを身体内感の語りによって解決してきたわけですが、これには誤読がつきものです。師弟の接触による感知によって誤読率を下げることはある程度できたでしょうけど、おそらく本質的な解決にはなっていません。
武闘派ならアウトプットとしての勝敗で回答の正誤を確かめるんでええやんということになりますが、養生派としてはそうした賭けに出ることはつらい。つまり伝統的な訓練にも近代的な訓練にもそのままでは不安が残るわけです。で、その解決方法というか、伝統と近代を接合しうるのが、MRIや筋電図による伝統的な訓練の測定だと思うんですね。身体のどの部分が発達しているか、実際にどの部分を使って運動をしているのか、そこがはっきりすれば、そこに適合して細分化した訓練を行うことができるようになると思うんです。
動作を解析してそういう動作ができるようにあれこれ工夫するというやり方だと、アウトプットは同じだけどその内実が異なる可能性があるわけです。しかしその動作ができる身体を解析してそういう身体になるようにあれこれ訓練を工夫するというやり方であれば、アウトプットは違っても内実が同じということになるでしょう。型がきっちり決まっている伝統的な身体芸術では前者だけで押せますが、技術として習得した上でさらに発展させたり、武術のように実際の運用において変化が多いような場合は後者のやり方の方がよいように思うのです。そういう研究誰かして〜。