Under the hazymoon

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ガブガブの前でソーセージ食べていいんだよ!

韓国から帰国したその日に、ポニョ見てきました。ヒルズの一番大きなスクリーンで見てきたんですが、これ、ジブリ美術館のあのスクリーンで見たかったです。くじらとり*1の延長線上の作品で、大きなスクリーンに耐える描きこみではありましたが、もっと小さなスクリーンの方がしっくりくる絵でした。

絵とキャラクターはまぎれもない児童文学というか絵本で、なんだかんだで個人的には好きな世界です。いろいろと細部の詰めの甘さの指摘をウェブで読んでいたんですが、冒頭部分で、これは動く絵本ですよという見せ方が絵からも演出からも感じられたので、実際は細部を詰める体力がなかったのだとしても、そもそも必要がない絵を作り上げたという点で、批判としては失当ではないかと思いました。ドリトル先生がハムやソーセージを好きで食べてたって、豚のガブガブは友だちなんだよ!ということです。といいつつも、僕もフジモトまわりの設定というかプロットというかが非常に気になってしまいました。説明が過剰で設定が重くなって、絵本の世界から離れようとしてて、それにつられてか大人側の事情、描き過ぎちゃってるなあと。見守る大人の描写もいらんし。二人だけの冒険もっと見たかった。
たとえば養老院を舞台にもってこず、ぽんぽん船みたいなゆるい冒険で、事件もなくお母さんを迎えに行くだけで、使命を気がついたら達成していた、というのがありえたハッピーエンドでしょう。
また、大人の世界に少し寄せるとすれば、やはり養老院を出さずに、二人で海のそこまでお父さんを助けに行くような大冒険してほしかった。それで最後に少し悲しい結末を迎えてもまあいいかもしれません。
あるいは宮崎さんは養老院の彼女たちに自分を投影してしまっていて、物語上まったく必要のない光源氏役として無理やり登場させちゃってるのかもしれません。
ちなみ所ジョージの声はよかったですよ。こむずかしいことを言うわりにすぐ流されちゃうキャラクターなんでアテ描きといってもいーぐらいじゃないですか。
とまあ、頭で考えるといろいろ出てくるんですけど、結局、あの絵の動きっぷりが、おもしろかったし、気持ちよかったという感想が強いというか根深く残ってます。CGじゃない手書きの味、というと宣伝そのままだけど、確かにそうとしか言えないなあ。気がついたら話が終わっていて、やっぱり絵に引き込まれていました。

*1:http://www.ghibli-museum.jp/welcome/cinema/004494.html