Under the hazymoon

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方法論としての北村薫

本屋で『北村薫の創作表現講義―あなたを読む、わたしを書く』*1を見つけて、さっそく買って読みました。円紫さんと私シリーズのファンとしてその創作論を読んでみたい、から買ったわけではありません。

もともとその好きなシリーズでも発揮されている優しいまなざしが、北村さんが書かれた批評でも感じられて*2、で、この本でも「読む」ということを中心にすえて語られていた、それが重要でした。その結果が小説や批評にならず論文になるにしろ、僕のしている研究もまさに「読む」ことが中心にあるわけで、すぐれた方法論の参考書として読ませていただいたんですね。しかも同書は早稲田大学での講義をベースにしてあって、教えることという視点でもすごくおもしろかったです。
文献学的な技術の学習とは別に、その根底になくてはならぬはずの、学問としてのおもしろさというか知的好奇心というか、そのあたりのきらきらとしたものがここでは示すべきかたちで示されています。

*1:[asin:4106036037:detail]

*2:[asin:4122049628:detail]とか。たまに見つけるとつい買って読んでしまいます。たまに、って、あまり褒められたファンではないですね。