nomurahideto's blog

http://researchmap.jp/nomurahideto/

定食文化におけるスタミナとジャンボ

東京に出てきた最初の頃に住んでいた板橋界隈ではよく定食屋でごはんを食べていました。その中には『孤独のグルメ*1で主人公に腕を捻られてた洋食屋もあって、実際店員の感じの悪さはあんな感じだったのですが、好きだった定番メニューがありました。それがスタミナ定食とジャンボ定食です。スタミナ定食というのは、豚肉とニラのニンニク醤油だれ炒めに生卵が落とされているというがつんとくる一品。ジャンボ定食は豚肉と豆腐の煮込みで、どうしてこれをジャンボというのか分からないんですが、豆腐をわりかし大きめに切ってあるからかなと。

で、この二つのメニュー、その洋食屋オリジナルなのかとずっと思ってたのですが、最近、池袋のキッチンABC*2の定番メニューにもあったんです。
f:id:nomurahideto:20090925192940j:image
ただし写真のはジャンカラ定食とオリエンタルライスという名前でした。ジャンボ定食の辛(カラ)いバージョンでジャンカラ。オリエンタルの方はニンニクだれを使ってるのをオリエンタルと呼んでいる様子。味の方はまさしく僕が昔板橋界隈で食べていたものでした。ちなみにキッチンABCのスタミナ定食は卵が載ってなかったので試すのは次回にした次第。
どっちが真似したのか、あるいは別に出自があるのか、そのへんは分からないんですが、どうも洋定食屋ではこのスタミナ定とジャンボ定は名称まで含めて共有されてるメニューらしいんです。
おもしろいのは、このスタミナ定食、今は無き白山の中華料理店中華楼でも定番メニューで、よく食べていたんです。このお店は地酒を置いてることもあって日本酒ガイド本にも掲載されたこともあったのですが、その後代替わりしてケーキ屋になってしまいました。もう何年も前のことです。
ところが、つい最近三ノ輪の中華料理店*3で、なんとこのスタミナ定食に再会できたんですね。おおまったく同じ味。しかし考えてみれば中華で生卵というのは異質なので、やはり日本で生み出されたメニューでないかと思うんです。三ノ輪でこれを食べれるというのは実におもしろい。ただその中華料理店はそんなに古くなさそうなので、どういう経緯で三ノ輪の中華にあるのか、これは他の店を探索してみないといけないでしょう。
考えてみれば、肉にニラにニンニク醤油とくれば、洋食出自というより中華出自の方が自然です。ニンニクを入れず、肉をレバーに変えればニラレバになるわけで、これは中華料理屋の定番メニューになります。ただ中華料理屋でジャンボ定食に相当するものになると麻婆豆腐定食になってしまうんですね。豆腐を大きいまま肉と煮込む料理は中華にもあるんですが、定食メニュー化したものには出会ったことはまだないんです。
さてニラレバ定食とくれば、中華に限らずいわゆる定食屋の定番メニューでもあります。板橋界隈で何軒も見かけるときわ食堂は典型的な定食屋ですが、焼魚など和定食系主体とはいえ、焼肉定食とニラレバ定食も基本です。ジャンボ定食に相当するものはというと、こちらでは肉豆腐定食というのがあるんですね。これが洋定食では平皿によそうのに対して、冷や奴のごとく深めの皿に入ってむしろモツ煮に近いかたちによそわれて出てきます。ただ味付けは味噌ではなくジャンボ定と同じく醤油です。
こうしてみていくと、バリエーションが少しずつずれながらも、和洋中すべての定食屋においてスタミナ定食とジャンボ定食を見出すことができるんですね。どの程度の広がりがあるのか、いつ頃から作られるようになったのか、いろいろと気になります。研究している人いるといいんですが。食文化だから、社会学か民俗学になると思うのですが。どなたかご教授ください。自分で研究したいところですが、これはさすがに武術研究以上に中国学から遠ざかるので問題だなあとためらうことしきりです(^_^;)

*1:[asin:459405644X:detail]

*2:http://r.gnavi.co.jp/p713500/

*3:http://r.tabelog.com/tokyo/A1324/A132401/13061864/