Under the hazymoon

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夏目房之介『書って何だろう?』

ご恵贈いただきました。

書って何だろう?

書って何だろう?


中国古典専門なのに、書道どころか字を書くことすら昔は大嫌いだったんですね(^_^;)
それが、武術を始めて腕の力を脱けるようになって、筆圧を下げれるようになると、だいぶおもしろく感じるようになりました。後は気楽に飲みながら書けるという卵筆流の会の雰囲気も大きかったかも。開店休業状態ですがorz
そうした経験を経た上で読んでみると、なるほど〜書って鑑賞できるんだ、と今更に納得するのでした。あはは。
型が大切なのは重々承知ですが、言葉までが型にはまるといろいろ不都合が出てくるわけで、そのへんが解きほぐされる感じが心地よかったです。

絵でも文章でも音楽でもそうだが、鑑賞や実作で修練すると、見る目は変わってくる。私がマンガを描いていたことで、私のマンガ表現論が独特の位置を占めたように、身体性を介した評価には固有の感じ方が反映する。けれど、ここで重要なのは、実際に体験している者の評価が必ず的を射ているとは限らないということだ。実作者の観点は、たしかに見えない要素を浮き立たせることがあるが、それは実作者ではない人々にも納得のできる「普遍性」をどこかで持たなければ、批評の意味を持たない。

中国哲学の研究に置き換えると非常に重要な問題提起になる、と僕は思ってるんですが、きちんと議論できる環境をまだ整えられていません。修行論への取り組みでの勘所にもなっていますし、きちんとした方法論を組み立てたいものです。