Under the hazymoon

http://researchmap.jp/nomurahideto/

電子書籍端末としてのiPhone

 個人的にソニーのリブリエ*1を応援していた*2のに、電子辞書からは撤退しちゃうしで、先行きがすげーあやしいです(泣 一方、松下はがんばってシグマブックの後継としてワーズギア*3を出したりしていますが。。。
 

 正直、検索機能のない端末はいらん、と思うのですが、そんなん研究者だけの意見でしょ、と考える方もいるようで。最近、愛読しているbookscanner記経由*4で知った論文*5では、

検索? 小説や読み物を検索するってこと、いったい誰がやるんですか? 普通の人は誰もやらない。そんなことに大金と手間をかけ,それで電子化が遅れ採算もとれない。おかしいとは思いませんか?

といった意見が紹介されています。同論文では、シグマブックの見開きは当然という今となっては生暖かい発言も残されていますが、書物の電子化における画像化の有用性については、確かに一理あるとは思います。
 でも、ハードに検索機能をつけること自体は採算取れないほどの大金と手間がかかりますか?と思うわけです。オーバースペックぐらいの方が、後から新たな利用法を見つけるきっかけになります。例えば、大江戸散歩をしながら、そういや鬼平がこの通りにあるお店で何か食べなかったっけ?と電子書籍端末でばっと検索してみるとか、その際に雑誌データが入っていて、その中のグルメ情報がヒットして、じゃあこの店でお茶しましょ、とかそういうデータベース読書というのが簡単にできるとうれしくないかと思うんです。これまでは研究者的スキルだった検索というものが、大衆化するためのツールとしての電子書籍端末、そういう考え方はアリじゃないかと。
 そう思うと、iPhone*6って究極の電子書籍端末になったりして。初手から多言語化されてるので、多漢字表示が必要な研究者にとっては福音です。電子テキストをXML化して、iPhone表示に最適化したCSSを用意するだけでもうばっちり、みたいな。早く日本で発売してほしいです。

*1:http://www.sony.jp/products/Consumer/LIBRIE/

*2:「リブリエできるかな―多漢字電子ブックの試み―」(『東洋学へのコンピュータ利用第16回研究セミナー』、2005年3月)とか、「電子辞書の多漢字コンテンツ作成について」(『情報処理学会研究報告』Vol. 2005, No. 52 (2005-CH-67)、2005年7月)とか。

*3:http://www.sense.panasonic.co.jp/PanaSense/WP01/WP0140.jsp

*4:http://d.hatena.ne.jp/bookscanner/20070223/p1

*5:長谷川 秀記「画像派Y氏への仮想インタビュー」(情報管理Vol.47,No.1,(2004),pp.53-55) http://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/47/1/47_53/_article/-char/ja

*6:http://www.apple.com/jp/news/2007/jan/10iphone.html