Under the hazymoon

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日本の純愛史マンガ成分なしで

 『モテと純愛は両立するか?』*1で「純愛とは任侠である」と喝破された大野左紀子さんがブログで「日本の純愛史」という連載をされていて*2、最近完結しました。読み応え、あります。
 

 明治の文学から映画を経由して現代のトレンディドラマまで、20世紀の物語における純愛の変遷を論じられた研究で、非常におもしろく読みました。ただ残念なことにマンガ文化に関しての言及がまったくありませんでした。マンガの要素は大衆文化の物語の変遷を考える上では外せないものですし、特に純愛となれば、少年マンガと少女マンガの対比等、すでに言及はいろいろされているはずで、そこまで目配りしてぶった切っていただきたかったところです。まあ他力本願はいくないですね。自分でマンガ批評を渉猟すればいいわけで。
 例えば張競さんの『恋の中国文明史』*3とか『近代中国と「恋愛」の発見―西洋の衝撃と日中文学交流』*4とかの議論に見られるよう、中国の文学の近代化においても自由恋愛の問題は大きかったので、日本における文学の動向およびその中に立ち現れる恋愛のかたちの、現代までの流れを押さえておくことは、近代中国の研究をする上で何かしら訳に立つかなあと思ったり。藤井省三さんの「恋する胡適―アメリカ留学と中国近代化論の形成」*5など、一時期このテーマは流行っていたように思います。その後どうなってるんだろう。
 もちろん、現代中国の恋愛事情というやつも知っておくべきで*6、そのあたりは研究はあるのか調べてませんが、直近のおおまかな文化状況は千田さんたちが訳した『Chinese Culture Review』シリーズ*7で少しはかぎ取れそうですが、俯瞰図は描けても議論の材料までにはなりそうにありません*8。まとまった議論を誰かしてくれてないだろうか、とやっぱり他力本願(^_^;)

*1:[asin:4860620496:detail]

*2:http://www.absoluteweb.jp/ohno/?date=20070327

*3:[asin:4480083324:detail]

*4:[asin:4000027484:detail]

*5:[asin:4000105329:detail]

*6:個人的には日本の事情ほど興味はないけれど。言うたら欧米の事情を知っておくのも同じように価値があるでしょう。という理由で映画やらTVの連続ドラマ見たりして。。。中華ものは武侠片しか見てないってのが問題か。

*7:[asin:4872200969:detail][asin:4872200977:detail]公式サイト:http://wagang.econ.hc.keio.ac.jp/~ccr/

*8:そこを自分で、といけないのがつらいところ。最近サブカルチャー情報仕入れてないし。。。カラオケ行っても5年以上前のC-POPしか歌えないですもん。い、いかん。