Under the hazymoon

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伝統ただいま(何度目かの)創造中

なまはげ自体は無形民俗文化財にもなっているし、確かに「伝統」であるので、「直接指導を受けなくても踊り方を覚えられる」DVDを作成して、「学校や地元の人たちに貸し出し、伝統継承に役立てていきたい」ってのは「継承」することになるのかしら、とか思ってたのですが。

「なまはげ踊り」継承へDVD制作 舞踊家・石井漠が振り付け|さきがけonTheWeb
という元記事をよくよく読んでみれば、「「なまはげ踊り」は、なまはげの所作を舞踊化したもので、秋田国体が開かれた1961年、男鹿をPRするためにつくられた」ものだそうで、すでにして創造された伝統であるところのものを今度はデジタルで再創造して継承するという次第でした。ここに無形民俗文化財のなまはげをオーバーラップするとおもしろいな。でもそういう研究あるでしょうね。探してる余裕がないのでほっとくけど。
記事にあるバックアップしている文化庁外郭団体というのは、財団法人伝統文化活性化国民協会というところでしょう。ここ、東京文化財研究所と組んで「伝統文化データベース」というものを作っているみたいです。
大きな制度が絡むと、こうしたデジタルアーカイブとしての伝統芸能の保存といった問題を考える際に、デジタル以前の再創造の歴史をも連続したものとして踏まえる必要があるというのがすごく分かりやすくなって、端的な事例になっています。
好きな人はこうした事例から国家が体制がとかいう方向に持って行かれるのかもしれませんが、僕はもっと根源的な何かであるように思えます。
というのも、やはりこれは古典のデータベースを考える上で、文献考証学としての古典学の性格そのものを抜きに考えられないのと同じ問題として語られるものだと思うわけで、僕の興味はそっちに戻っていくのでした。