Under the hazymoon

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もう一つの人文情報学的文字学の可能性?

ユリイカの白川静特集*1で、おもしろかったもう一つの記事は一海知義×石川九楊の対談「触知する文字宇宙 漢字・書・詩学」です。白川静が甲骨文字の研究にあたってトレーシングペーパーを甲骨の上にかぶせてペンでがりがり移すとき、その筆触によって似たようなかたちでも分類できたという逸話が紹介されていて、そこからいつもの九楊節が炸裂するのはともかく、そうした理論にできない体験的な知こそ情報学(というかこの場合自然科学?)の対象になるんじゃないかなーと妄想してました。石川さんとは真逆の結論ですが(^_^;)、数値化することでそれが個人の体験を超えた知の体系として理論化できるわけです。それは落合淳思さんが実際に甲骨割ってみた実験*2の場合でも同様で、自然科学的にはこういう合理性が成り立つというのは、全面的に承認されることはないでしょうけど、他に資料が見込まれない場合は大きなアドバンテージを持つかなあと。文字、テキストそのものの生成に関わる部分を科学的に分析という点が僕にはおもしろいです。メカ九楊誕生みたいな感じ。

*1:[asin:4791702034:detail]

*2:[asin:4062880180:detail]