Under the hazymoon

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静物画をはじめておもしろく見た日

ウィーン美術史美術館所蔵静物画の秘密展*1国立新美術館で見てきました。正直、リンゴやバナナを描いて何がおもしろいんじゃ、と学校の美術の時間では思っていたのですが、意外に楽しめてびっくり。大人になったのだろうか(^_^;)

いや、ヴァニタス画のような絵解きの見方はもちろんおもしろいんですが、オマールエビが空に浮かんでて何でやねんと思っていたら蟹座の象徴だったとか、そういったことまでいかない特に大きな含意のない静物画もおもしろく見れました。主題となってる物への描き込みがすごくってほとんど写真とみまごうばかりだし、キャンバスから浮き上がって3Dっぽく見えるんですね。
遠近法確立前だからそう見えるように描かれてるんだそうですが(相方情報)、おもしろかったのは、物単体から全体を立体的に描く方へ技術が進化するのとは別に、物単体を極限まで立体的に描いてトリックアートの領域にまで達した作品が当時描かれていたことだったり。進化の隘路というんでしょうか。
あと花の静物画で有名なものも見たのですが、果物とか野菜とかと違ってあまりリアルに見えてことないのもおもしろかったです。描き手も見る方も花そのものの美に魅入られちゃうのかも。
ベラスケスのマルガリータ王女は同時代にあって、それまで展示されていた静物画が写真のように精密に描いていたのに対し、かなりゆるく描いているのに逆に人間の目には非常にリアルに見えるようにできていて、近づいたり遠ざかったりしながら何度も見直して、時代を先取る天才ってのはこういうことなのねーとひとしきり感心したのでした。
ちなみに国立新美術館初体験、広々としててよかったです。
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*1:http://wien2008.jp/