Under the hazymoon

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一動作一呼吸であって、その逆ではない

 今日も李老師スペシャルでした。さて、李老師が英語で話されるとき、筋のことを「テンデン」て言われてて何のことかな〜と思って、今さらに調べたら、「tendon」、腱のことでした。もともと中国にしろ日本にしろ筋肉のことは「筋」(すじ)と喚んでいましたし、腱は筋の構成物でしかないので、筋の訳としては一般的には「muscle」の方が適当と言えるはずです。それを「tendon」と訳するところに意味がある、ということなのでしょう。全身をつなげる、というところに力点がおかれているように思いました。
 

 ということで、人体構成でもっとも大事な部分は骨なのだけど、これは練習ではどうこうできない、そこで二番目に大事な筋を練習では鍛えるのだそうです。で、この筋とは皮でも筋肉でもなく、ばらばらの身体を一つにくっつけているもの、のことなのだそうです。なるほど、収縮運動を中心にみれば筋肉の器官としての主体は筋繊維だけど、結合状態を中心にみれば筋肉の器官としての主体は腱になる、そういう理解でいいのかな。で、身体には大小様々の筋があるけど、うち最も大きいのが脊椎に沿って首から足までをつないでいる筋で、走圏で足を出すときにはこの筋をのばすようにして全身をつなげるのだそうです。
 そのように走圏することと、先日のラクダ*1とでは、実践上どのように考えればよいかお聞きしたところ、同じことだとのお答えが。筋をのばさないと力をどーんとのせることはできないからね、との由。では、前に教えてくださった走圏のポイント三つ*2との関係は?とお尋ねすると、これは全く関係ないそうです。えー。同じように思っていたのに。どこが違うポイントなのか、ちょっと分かりません。難しいなあ。ただ、ラクダのたとえは元々の八卦掌の拳訣にはないそうですし、意念に関わるっぽいので、確かにちょっとレイヤーが違うのかも知れません。
 さて、筋で全身をつなげる練習においては、正しい姿勢をとる必要があるそうです。というのも正しい姿勢によって、気血がよりよくめぐり、呼吸が深くなるからだそうです。で、その姿勢が中正なわけです。また全身がつながった状態というのは、結局全身の動作が連動している、発勁で打つ際に、足が出て、それから身体が動いて、最後にその勢いを借りて手が出る、というのではなく、全てが一気呵成にどんと動くということで、まさに言葉の通り、一動作一呼吸でなくてはいけない、との由。動作がばらばらで、呼吸が乱れていると気血が散じるので力が出ないからです。もちろん、走圏においても然り、だそうで。
 あれ、呼吸って気にしなくてよいって前言われたような。そこで、構えたときに吸って、打つときに吐くとか、そういうことでしょうか?そうなると走圏のときは。。。とお聞きしてみました。するとお答えは、もうすっぱりはっきり。違う、そんなことは気にしなくていい、呼吸は自然でいいんだ、ということでした。ようするに呼吸を気にして、一呼吸一動作、になってしまってはいかんということなのでしょうか。実際走圏時において呼吸に関する要求はまだ教わったことがないですし、仮にあるとしても今はまだ早いということなのでしょう。密息*3の例もありますし、走圏の理論からして、呼吸をどうするかというのは付属的な問題、つまり姿勢(身法)を正しくすることが呼吸法なのだという考えの方が整合的だと思われます。

*1:http://d.hatena.ne.jp/nomurahideto/20070204/p1

*2:http://d.hatena.ne.jp/nomurahideto/20060806/p1

*3:http://d.hatena.ne.jp/nomurahideto/20070202/p1