Under the hazymoon

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研究者の読者性について

仏教大学に早めに着いたので書店を覗いてたら、石原千秋の新刊『読者はどこにいるのか--書物の中の私たち』*1をたまたま手に取ったら、思いっきり現在の研究テーマと関係あった(^_^;)
そもそも静坐を思想史の問題として論ずるにあたって、儒教の読書との関連を重視すべきだろうという考えで研究を進めようとしていて、そこに現代の研究者としての立ち位置を重ねた議論をするわけだから、まさに近代/伝統的「読者」の問題でもあるのでした。おまけにそのために明治大正期をまず調べようとしていたわけで、参照すべき先行研究はここだったか。相変わらず周回遅れで問題に気づくなあ(^_^;)
同書は一般向けに書かれているので、概説的に重要な研究を参照してくれてるし、後書きでは「一般書を書く研究者を背中から撃つ」業界への皮肉も載っていて、かなりお得です。もっとも、小説以外の読者を外部にしているため、こちら側で利用するにはいろいろ翻訳が必要かも。そうしたスタンスがちょっと前までは嫌いであまり評価してなかったんですが、別にこっちから手を伸ばせばよいだけであったと、超前向きに方向転換してます。
朱子語類』の読書法の邦訳*2と比較して、実践からみた「近代思惟の挫折」*3論とかどんなもんじゃろと思ってるんですが。

*1:[asin:4309624014:detail]

*2:[asin:4762913014:detail]

*3:[asin:458280716X:detail][asin:4582807186:detail]