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八卦掌で女子は男子のように腹が出ない説の真意

 八卦掌を学んでいる女子のみなさんがもっとも心配してるのは、練習を続けていると遠藤老師や李老師のおなかのようにすごいことになんないか、というものです。先生方は大丈夫です、女子は続けていると逆に引っ込んできますと言われるのですが、実際はおなかが出てきたという女子が少なからずいるという現実があり、にわかには信用しがたいところがあるわけです。男女の身体は違うから、確かにその通りですが、あんなすごい腰回りで言われると、さすがに説得力が(^_^;)
 

 それでやはり李老師とごはんと食べているとき、その話が出たんですね。女子にとっては、武術家が戦いにおもむくがごとき死活問題、なのでしょう。実は僕も、同じ練功をしているのに、どういう理屈で男女で結果が異なるのか、男女の構造が違うということは、ホルモンとか子宮や精巣などの内臓の影響なのかと興味はあったのです。
 すると李老師のお答えは次のようなものでした。まず養生の思想でいう理想の体型というものを考えてみましょう。それはもっとも健康的な体型はどんなものか、ということです。すると男子の場合は、腰回り、下腹や臀部がしっかりとして安定している体型が理想なのです。では女子はどうでしょうか。下腹が出ておしりがたれさがっているのは健康的でしょうか。胸があり、腰はしまり、おしりがきゅっとあがっている、そういう状態が健康的な体型でしょう。もちろん体つきには個人差があります*1八卦掌は養生を極める技術ですから、最終的にはその人それぞれの身体がもっとも望む健康的な体型に落ち着くのです。つまり太りすぎている人が走圏をすれば余分な肉が落ちるし、やせすぎている人が走圏をすれば足りない肉がつくのです、ということなのです。単純に太る、やせる、ではなく健康になるという観点で考えましょうとのことでした。で、自分は男なので、男子の場合に途中どのように身体が変化していくは分かるので説明できるけど、女子の場合については途中経過は分からない、ただ結果についてはそれは八卦掌の内容からして絶対保証できる、との由。
 なるほど、これは確かに得心がいく合理的な説明でした。ようするに違うということは頭で知ってはいても、ついつい、走圏を、ウェイトトレーニングのように特定の部位に筋肉をつける練習であるかのようにみなしていた、ということなんですね。鍛えるというということは、整えるということであって、増やしたり減らしたりするものではない、というわけです。僕はこの話を伺ってこの件についての疑問が氷解しました。
 。。。しかし、正しさは時に残酷です。というのも、健康的な体型が「美しい」体型とはかぎらず、そして女子のみなさんが求めているのは「美しい」体型、なんですよね。現代においては健康的な体型はたいがい太っていると認識されるでしょう。モデルにダイエット禁止令すら出るご時世ですから。そうなると、八卦掌を練習すると太る、という理解も認識としては間違ってはいない、ということになります。そこで李老師に、でも女子が求めてるのは健康美ではないんですが、とさらに聞いてみると、いやーそうなんだよね難しい問題だ、しかしその答えも私は見つけている、それが「女子八卦掌」なんだとのことでした。確かに昨夏から女性限定講習会も開いていて、その中でこの困難を解決する方法を教えているんだそうです。男子には話せないので、ということで具体的な話にはならず、どんな風に解決するのか僕には分からないわけですが。うーん、研究者的にすげー気になる。どういう理論をもって解決するんでしょう。健康は絶対、の八卦掌で答えはあるんでしょうか。見学したいなー。

*1:骨格や骨の太さは変更不可な所与のものとして個人差になるわけですね。