医学分野での業績の数値化
こないだ飲んだときに臨床検査専門医という仕事は資格の更新を定期的にしなければならず、その際には日本臨床検査医学会*1が資格の認定を行っており、日常業務をはじめ学会発表や研究例会参加などの諸活動に対して得点を定め更新までに規定の単位を貯める必要があると教えてもらい、かなり興味を持ちました。
「臨床検査専門医制度規定・内規」*2によると5年間で資格は更新するのだけど、更新するためにはその5年間の間に50単位獲得していないといけないそうです。で、得点の内訳はというと、
臨床検査専門医の認定更新に必要な単位表 | |||
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出席 | 発表・報告 | ||
A. | 日本臨床検査医学会総会 | 15 | 3 |
日本臨床検査医学会特別例会 | 10 | 2 | |
日本臨床検査医学会支部総会 | 5 | 2 | |
日本臨床検査医学会支部例会 | 3 | 2 | |
その他,日本臨床検査医学会が主催または後援する学術講演会 | 3 | 0 | |
B. | 日本臨床検査専門医会が主催する教育セミナー,講演会 | 10 | 0 |
C. | その他の関連学会および日本医師会生涯教育研修会 | 2 | 0 |
D. | 日本臨床検査医学会「臨床病理」掲載の学術論文(1 編) | − | 10(5) |
その他のレフリー制度が確立している学術論文(1 編) | − | 3 | |
E. | 日常業務での報告書(20 編) | − | 10 |
F. | 日本医学会総会 | 5 | 0 |
と、なかなか詳細です。確かに人の生命を預かる仕事なので腕がさびないように随時新しい情報や技術に接することが推奨されているということなのでしょう。実際に仕事についていない場合でもそのぶんがんばれば学会やセミナーに積極的に参加することで資格を維持(ペーパードライバーみたいにはならない)できるようにしてあるわけです。
人文系の研究者として興味深いのは、論文発表と学会参加や日常業務(大学での教育活動に比することができるでしょう)などを同列に数値化してあることです。もちろん僕たちは人の生命を預かってもいないし、研究者に資格があるわけでもない。でも、大学で教員をしてないかぎり、しばしば研究者とはみなされない現況を考えると、こうした基準の設定は大学教員としての身分にアドバンテージを与えることができる一方で、学術研究の門戸を広げることができるように思えます。
それに第一、人文系の業界って、業績の数値化がこうして明文化はあまりされてないように思いますし。文科省のサイトをさがすと見つかるのかな。。。ともかく、個人的にはこれにブログやホームページ、あるいはWikipediaなどコラボサイトでの情報発信も得点に加えていくようにできるとおもしろいのではないかと思います。タコツボ的な専門研究を第一に評価しつつも、より広い角度から研究活動を位置づけることで、研究者の協業がやりやすくなるのではないかと愚考するわけですが。