Under the hazymoon

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内側の足はどこを向くべきか?

走圏の基本は、円周に沿って内側の足が直線に、外側の足が曲線に進むことになっています。もちろん円が大きくなれば外側のカーブが徐々にゆるくなり、直線にいたって、まっすぐ歩くことになります。逆に、円が小さくなれば内側の足の運びが直線を維持できずカーブを描くようになっていきます。
つまりどの大きさで円運動をするかで歩法は自然に変化するわけですが、こと練習においては特に基本のサイズで基本の歩法でやる方がよい、ということなのでしょう。したがって内側の足が直線に出ずにやや擺歩気味にカーブを描いてしまうのは、ちょっとイレギュラーなんですね。
李先生はそのように歩かれることがままあるので、伺ったところ、それは小さい円を歩いてしまっているからで、本来は内側はまっすぐ外側がカーブだと言われていました。
しかし、実はもう一場面、内側の足の運びのカーブが強くなるときがあります。それは掌法を終えて、走圏をまた始める最初の一歩のときです。これは何故でしょうか。

おそらくこれは基本の姿勢と大いに関係があります。走圏の初動の姿勢においては、両足は平行に前を向いており、逆ハの字に開いたりしません。外曲内直で進むかぎりにおいて、かならず内の足が前にある初動状態の際には、必ず両足は平行線上にあります。そして、数年前に李先生から、単換掌終了時の悪い癖として足が逆ハの字に開いて終わることを指摘され、最後に足は平行にあるようにとの指導を受けました。
ただし、単換掌など掌法の場合はどうしても足が動きがちですから、最後の擺歩の前段階で外の足がすでに円周上から外に向いてしまっていることが多いんですね。しかし最後に円周上に戻らなくてはと足を動かすので、結果逆ハの字のかたちで終わってしまう。
ところが李先生は、その場合に最後の擺歩を円周上からずれても外の足の方向に合わせて平行に終わらせるんです。結果円周上からずれた方向を向いて終わる。そこで走圏を再開する次の一歩が円周上に戻ろうと擺歩気味になる、ようなんです。
僕はてっきり、足の向きは円を描くために要求されているものと思っていたのですが、そうではなく、身法から考えてもっとも理想的な両足のかたちとして平行に立つことを基本とするということなのでしょう。おそらく力や変化の発揮が逆ハの字よりも最適なバランスとなるから?でしょうか。掌法を始める前に歩いていたのと同じ円周に復帰するのは、当然ながら本来的な目的にはなりえませんから。
僕たちはついきれいな円を描いて歩くことを正確な動作と思いがちですが、実際は身法に忠実である結果その都度微妙に方向がずれる方が本当に正確な動作だということです。