Under the hazymoon

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アナトミートレインと小周天

伊藤和麿『腰痛はアタマで治す』*1という新書を書店で手にとってぱらぱらめくっていたら、おーっという図版を見つけてさっそく購入しました。
アナトミートレインという解剖学的見地から「全身の筋膜、筋筋膜のつながりを地図として表現した」ものだそうです*2。ロルフィングから派生したものらしい。
f:id:nomurahideto:20100908183603j:image
おもしろいのはここで示されているつながりが馬貴派の要求に重なる構造になっていることです。特に注目したいのは真ん中の図。なぜ顎を引くかまで説明がつく。さらに重要なのが矢印で示されている筋膜の収縮する方向で、ここでは腰痛の原因として説明されていますが、走圏で要求されているのはまさにこのルートですし、腰から下をぶったぎればまさしく小周天のルートなわけです。実際内丹は坐って行うので下半身のルートは無視してよいわけで。
で、実のところ、僕自身馬貴派の練習をしていて、小周天のように背中は昇って前面は下がる感覚を感じることはあって、なるほど小周天には身体内感の対応がやはりあったかと思ってましたが、それはある程度医学的な裏付けを取れそうだということになるでしょうか。
小周天について語るときに、気を介在させずに論じる部分を確保できるというのは非常に意味があると思います。これまでは鬼神と同じで括弧に括ることしかできなかったわけで、より重層的な議論を組み立てられる可能性が出てきました。自分の経験談では議論を進めづらかったので。これでぎり論文で言及できるようになったか(^_^;)
もちろん安易に等号で結んじゃうとミイラ取りがミイラになりかねません。アナトミートレインやロルフィングの科学性も問題になるわけで。このへんの機微は方法論の問題としてかなり根深いです。

*1:[asin:4087205533:detail]

*2:http://anatomytrains.jp/
[asin:4260007491:detail]