Under the hazymoon

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郭沫若と静坐(1):岡山での生活

 郭沫若が日本留学中、1915(大正4)年10月に父母に送った手紙では、岡山に移って一ヶ月後の生活を報告し、「私は岡山に来てから毎日、起居飲食を規則正しくしております。」として、一日の生活を次のように綴っています。

 

 五時半起床。

 五時半から六時半までに顔を洗って歯を磨き、冷水浴一回。

 六時半から七時まで静坐。

 七時、朝食。

 八時から午後二時まで受講。月曜日は午後三時以後、土曜日は十二時以後、授業なし。

 十二時、昼食。

 午後の放課後は復習。毎日この間、温浴一回。

 五時、夕食。

 夕食後七時ごろ散歩する。

 七時から十時まで、復習と予習。

 十時十五分、静坐して後、就寝。

 

 夕食後の散歩については、「ここに操山があり、形は峨眉山麓に非常によく似ています。稲田ばかりです。田圃の間を散歩しながら四方を見渡すと、山ばかりです。まるで故郷に帰ったようです。」と述べています。

 ここで郭沫若が朝晩行っている静坐は岡田式静坐法を参考にしたものです。続きます。

参考文献:

桜花書簡―中国人留学生が見た大正時代

桜花書簡―中国人留学生が見た大正時代

単勾式の力と美

数年前に習った単勾式と今回習っている単勾式では、式の順序や個別の動作について異なるものがあります。式4は動作の要求が細やかになったぐらいでしょうか。前回式7だったものを今回式5として教わりましたが、動作の方向が正方向から斜方向に変わりました。式6は前回と同じですが、前回は片足で立ちながらの穿掌が、今回は蓋掌してからステップバックに変わりました。
あと2式どうなるか楽しみですが、つい我慢できず李先生に伺ってしまいました。学生としてあまりよい態度とは言えませんが。。。すると、問題は個々の動作の変化ではなく、何をテーマとして学んでいるかにあるとのことでした。
つまり、前回は燕の動きを学ぶことに主眼が教えられ、今回は方向の明確化というより原理的なものを課題として教えられているとのことでした。全部で8つの学び方があり、まだまだ変化するそうです。つい細かい動作の違いに注意を向けてしまいがちなのですが、それではいかんということですね。そのように言われてみれば、今回は走圏の指導の段階から、確かに燕のように動くことをあまり強く打ち出されていません。言われる前に気づかなければよい学生とは言えず、反省することしきりですが、確かに個々の掌法を通じても李先生は一貫した指導をされています。
それでは前回学んだ内容と今回学んでいる内容は、どのように練習上切り分ければよいのでしょうか。やはり気になったので先生にお尋ねしたところ、その答えは、基本全部のせ油ましまし、でした。前回学んだ要求に今回学んだ要求を追加する。どんどん足していくんだよ、という強いお言葉を頂いた次第です。じゃあ僕がひいひい捻っていたのは正解だったのか。一安心しました。

それにしても李先生の単勾式の実演を見ていると、力強さと流麗さがよくもまあ同時に実現できるものだなと感嘆するほかありません。力を出し切ることと流れるように動くことは、実際にやってみると非常に難しく、力を入れれば動きが細切れになり、きれいにつなげれば力が抜けます。特に前後や左右に動くだけならまだしも(いやまあそれでも十分難しいですが)、180度から270度回転したりすると、自分でも厭になるぐらいいい加減な部分が出てきます。
それでも前回と今回と続けて李先生に習ってみると、少しずつ理解が進んできたし、それが動きにも反映されている実感があります。型を学ぶという伝統的な方法でありながら、型の意味をずらしていくことで、立体的な学びになっているのでしょうか。蛇や燕といった動物の動作を身につけるだけでなく、四正四斜のような方向といった抽象的な概念の体現が組み合わさるあたり、非常に中国的な分類になっていて、いわゆる“東洋”的な学びのイメージだけでは理解できない深みがあります。
こうして異なる学びを一つの型に上書きしていくことが、力強さと流麗さの合一を実現できる道なのかもしれません。

馬貴派八卦掌2012年3月講習会練習課題一覧

  • 単換掌擺歩応用:懐中抱月
    • 基本の姿勢は撞掌の単操と同じ。
  • 単換掌擺歩応用:迎風捕面
  • 単換掌擺歩応用:托腮
  • 単換掌擺歩応用:穿心肘

 
擺歩応用は伝統的なものが後10種はあるそうで、そのうちまた教えるからとのことでした。もっとも、擺歩応用が扣歩応用に比べて少ないのは、ほとんどの掌法が擺歩の応用だからそうです。ようすれば基本的な擺歩応用が穿掌との由。
先月今月と単換掌の応用の講習は大きな動作を先に小さな動作を後に学ぶ構成になっていました。小さな動作ほど、単純で使える技になるとの由。しかし小さな動作ほど丹田が必要になるそうです。
龍行虎坐のように相矛盾する二つの要求をバランスを取りながら同時に実践していくことが陰陽を握ることなのだそうです

馬貴派八卦掌2012年5月講習会練習課題一覧

  • 磨身掌:法二
    • 単勾式の基礎として
  • 単勾式:式一
    • 燕のように。あるいは岩に隠れる双頭の蛇のように。
  • 単勾式:式二
  • 単勾式:式三

 
怒りが溜まってるときは熊形ではなく単勾式をやった方がよいそうです。
八卦掌を学ぶ上で伝統的な三つの養生法である易筋経、五禽戯、八段錦がそれぞれ志向するものを一つにまとめることが重要であるとの由。つまり「筋」を鍛錬すること、動物に学ぶこと、身体の外の動きで内を整えること。中国四大伝統気功のうち三つまで取り入れてるということですね。残り一つの六字訣は呼吸法なんであんまり関係ないか、将来的に出てくるのか、どうなんだろう。八卦掌でも上の段階では呼吸に留意する練習方法があるようなので。
李先生曰く、小さく軽やかな動きは、大きく重く行うように。大きく重い動きは、小さく軽やかに行うように。
 
個人的な発見は式三の挑扎での身法は式一でも要求されるということでした。燕が林に一気に飛び込むときは水平には飛ばないわけで、沈み、捻り、突き抜ける必要があります。これを中正を保ったまま行うという相矛盾する要求の狭間に練習の本質があるのだと思います。

馬貴派八卦掌2012年2月講習会練習課題一覧

  • 単換掌扣歩応用:八字鎖喉
  • 単換掌扣歩応用:鈍鎌斬草、王全摘瓜
  • 単換掌扣歩応用:白猿偸桃、摔驢
  • 単換掌扣歩応用:八字肘、点太陽


先月と今月で合わせて15の応用。2009年に学んだときより、刺目、穿鼻、鈍鎌斬草、白猿偸桃、点太陽の5つが増えました。16番目の「袖裏蔵刀」は次の機会にとのこと。
来月は擺歩応用だそうです。

馬貴派八卦掌2012年1月講習会練習課題一覧

  • 鷹勢走圏、掌法一(単換)、二(順勢)
  • 単換掌扣歩応用:抹眉、点心、撞槽
  • 単換掌扣歩応用:連環手(連三、五、七手)
  • 単換掌扣歩応用:刺目、穿鼻
  • 単換掌扣歩応用:撲面、揹狼


鷹勢は新年会のサプライズ練習。
単換掌の応用は実戦的な攻撃の技だが、学ぶ上での最終的な目的は、練習を通じてあらわになる問題点を自身の単換掌にフィードバックすること。