Under the hazymoon

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響きあうこともトレーニングできるよ

甲野善紀×茂木健一郎の対談集『響きあう脳と身体』*1を読みました。矛盾するものをそのままに扱う姿勢とか、1月の講習会について僕が書いてきたこととリンクするようなことが禅や古武術の言葉を引用しながら書いてあり、おお、響きあってるなーと思いました。やはり先人はきちんと考えておられる。。。が。

何だろう、この妙な科学アレルギーは。
西洋=分節化=筋トレ、東洋=全体化=古武術という図式を固定しちゃってるんですね。矛盾を矛盾のままに受け入れるとか言ってるのに、分節化か全体化かの二者択一に問題を切り詰めて、分節化は無意味だと断じるって、言ってることとやってること違うじゃーん、と思いますけど。
何度か書いていますが、こういうときはやはり第三項としての中国というのを考えるのは有効だと思います。だって中国武術はどっちもあるもんね。全体化としての走圏や掌法があり、分節化としての単操や易筋経がある。どっちかじゃなくて、どっちも。こういう発想、武術に限った話ではなく、中国の伝統的な知のありかただと思います。
馬貴派の練功なんか、むしろ科学の発展に近いでしょう。派手なブレークスルーなんかほとんどおきないまま地味〜に繰り返していくうちに、その積み重ねの結果としてあるところでパラダイムシフトがどかんと起きる(ように見える)、というのが練功の過程だそうですから。
テーマや方向性はまったく同意するんですけど、しかし大切なのはそれをどう語るか、なんですよね。科学アレルギーこそが身体でなく脳で語っている証左ではないのかなと思います。そういうところ割り引いて読む分にはよい本かと。

*1:[asin:4862381103:detail]